幻想・川蜻蛉 第四話「前略、道の上から」

Kawatombo Ken

2007年10月07日 23:32

釣りのHPを検索していると、時に不思議なサイトに辿り着くことがある・・・

新たなポイントを開拓しようと、釣関係のブログを検索していたら、妙なブログを見付けた。
以下は、そのブログからの転載です。

ブログ名:「前略、道の上から」より抜粋

○月×日、天候:晴れ、気温:22℃
今日も尺物は釣れなかった・・・
ここは、合流点の下流部にある落込みからのヒラキ、一日で尺が数本挙がったこともある有望ポイントのはず。
今期あまり良い釣果のあがっていない私を見るに見かねた先輩が、自分の秘蔵のポイントを譲ってくれたのだ。
ここのポイントに通って、ほぼ一週間・・・
確かに尺に満たない小物はコンスタントに釣れるのだが、このポイントでいくら泣き尺を挙げたといっても自慢になどなりはしない。
この日もギリギリまで粘ったのだが、最大で28・・・
これでは先輩に合わせる顔がない(T_T)凸

それでも納竿後一応先輩に連絡、気が重い
「どうも、お疲れ様です」
「良い型は出たの?」
「ダメでした・・・スイマセン」
「いや、謝らなくてもいいけどさ。T君は40オーバーを挙げたらしいよ!」
「えっ!!どこで?」
「君の入ったポイントの3kmくらい下流らしいよ。」
Tの野郎に、40オーバーか・・・くそっ!
ほくそえむ顔が浮かぶ、きっとまた馬鹿にされるだろうなぁ
それにしても、あのポイントの下流とは!?
確かに、今日の流れでは水通しの良い下流部のほうが有望だったのかも知れない。
悔しいが、奴のポイントの見極めは大したもんだ。
「で、どうする?明日は別のポイントに入る?」
「いや、きっと出ると思うんですよ。先輩さえ良かったら、また同じ所に入りたいんですが・・・」
「あぁ、良いよ。俺も新たに良いポイントを見つけたし、今日は尺は出なかったけど良い感じなんだ。」
「そうですか、さすがですね!!じゃあ、明日はお互い頑張りましょうね♪」
「そうだな、良いのが釣れたら連絡してよ。」
「はい!じゃあ、また」
・・・相変わらず後輩思いの良い先輩だ。
たぶん良いポイントを見付けたって言うのは嘘なんだろうな。
きっと、流しながら拾い釣りでもしていたに違いない。(このエリアに、そんなに良いポイントが沢山あるわけはないのだ。)
先輩の気持ちに応えるためにも、明日こそは!!


○月△日、天候:曇、気温:20℃
朝ポイントに向かう途中、嫌な奴に出くわした・・・Tだ!!
「おう!小物ハンター!!元気か?」
「まぁな・・・」
「聞いたか?昨日出たんだぞ、40オーバー!」
「あぁ・・・」
「なんだったら、ポイント譲ってやっても良いぞ♪」
「余計なお世話だよ!」
「あらあら、素直じゃないねぇ。ま、良いけどさ!」
嫌味な奴め!!
見てろよ、今日こそは見返してやる!!

闘志を新たにした私は、早速一番の本命ポイントに入った。
落込みからのヒラキ。
本命ポイントとは言え、プレッシャーの高い場所。
死角となっている影にジーッと身を潜め、待つ・・・
・・・
・・・
・・・
来た!まだきっちりと確認は出来ていないが、尺は確実だ!
あせる気持ちを押さえ、チャンスを待つ。
もう少し、もう少しだ!!
焦った私が、確認をしようと身を乗り出した、その時・・・
しまった!!
気付かれた。
せっかく見付けた尺物は、流れの中に消えてしまった・・・(T_T)
しかも、尺物が逃げる際に発した警戒警報で、他の獲物にも余計なプレッシャーを与えてしまったようだ。
小物すら出てこなくなってしまった・・・

その時メールが入ってきた。Tからだ!
「尺物でたよ~~~♪」
あの野郎ぉぉぉ!!(怒)嫌味にも程があるぞ!!
待て待て、ここでカッカしては、いけない。
冷静に、一度冷静になって仕切りなおしだ。

ポイントを休ませるためにも、小一時間ほど周囲をグルリと廻って戻ってきたとき
私は冷静さを取り戻し、ストーキングに気を使いながら、再び本命ポイントに入った。

幸運にもチャンスは間もなくやってきたのだ!
身を潜めてほんの数分。
流れの中から、明らかに尺を越えた、いや40に届いているかも知れない獲物が姿を現した!!
「今度こそ・・・!!!」
私は冷静に身を潜め、決定的な瞬間を待った・・・

「キタァ~~~!」
獲物はそのままの速度で、私の前を通り過ぎた。
確認OK!42キロ!
私はここぞとばかりに姿を現し、獲物を追跡する。
獲物は私に気付いた様だが、もはや遅い♪
待ちに待った、ランディングの瞬間だ!!!
「はい、そこのシルバーのスカイラインの運転手さん、左に寄せて止まって下さい!」
もはや観念したらしく、獲物はすんなりランディングに応じた(ここで逃げられる訳など無いだろうしw)
「ずいぶん、スピード出してましたね。お急ぎでしたか?」
いつものマニュアルトーク、獲物を落ち着かせることが重要だ。
暴れさせても、こっちには何の得も無い。
・・・
「102キロ、42キロオーバーですね。」
・・・
「こちらにサインを」
・・・
そして私は尺物の証『赤キップ』を切った(^^)b
久々の尺(30キロオーバー)、しかも40キロの大台越え!!
油断していると顔がニヤついてしまいそうだが、必死で真面目な顔を崩さずに
憮然とした顔をしている獲物(ドライバーさん)を、そーっと刺激しないようにリリース(;^^A
獲物が流れの中に見えなくなった所で、小さくガッツポーズ!
後で、先輩とTの奴にメールを打たなければ♪

この日は結局この40オーバー以外に3本の尺を挙げ、意気揚揚と引き上げて行ったのだった。


・・・なんだ!?この記事は!!!
恐らく、白バイ隊の人(しかも釣馬鹿?)のブログなんだろうが・・・
面白い記事ではあるがムカツク!!
(違反取締りの話と判った上で、もう一度記事を読んでみてください。笑えることは笑えます・・・)
文句を付けてやろうとコメントを入れようとしたが、上手く飛ばない。
戻ってみようとしたが、あれっ?
ブログに戻れない・・・
たぶん仲間内だけの非公開のブログが、設定変更中に手違いで公開されてしまったんだろう。
以来、何度もこのブログに接続を試みたが、一度も繋がらない。

しかし、今日も彼はポイントの影に潜んで、尺物を狙っているんだろう。
獲物の皆さん、捕獲されないようにご注意を(笑)

Kawatombo Ken

今回も、もちろんフィクションです。
しかしありそうな話だと思いませんか?
もし、こんなブログを見かけたら・・・怒りのコメントを宜しく(^^)b

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