出会いから50m程進んだが、未だに水面にフライが落ちない・・・ロストフライはすでに3本・・・(;^^A
「参ったなぁ・・・システムを変えるかな?」
これでも藪沢用に、相当短め(全長7ft)&太目(5X)のシステムを組んできたつもりだったのだが仕方が無い
更にリーダーを1ft切り詰め、ティペットを4Xに交換する
田○信者や岩○信者が見たら、
「こんなのFFじゃなぁ~い!!」と怒り出しそうなシステムになってしまったが(汗)、水面にフライを落とさないことにはどうしようもないからな(^^)b
そして次のポイント
木の枝の隙間に見事にキャストが決まる!
今日初めて水面にフライが落ちた、しかも絶好のポイント!!
ガボッ!!!
大きな黒い影が岩の下から現れ、何の迷いも無くフライを咥え込んだ
影の大きさから言って泣き尺以上である事は間違いない、しかもパワフルな良い引きだ♪
木の枝が邪魔で思うようなやり取りが出来ずに苦戦したが、なんせコチラは4X!
しばしのファイトを楽しんだ後、かなり強引な取り込みをして無事にネットにイワナが納まった
サイズは29cm!惜しくも尺ならずだが、1匹目(実質1投目)としては充分すぎるほど満足な大きさだ!!
この後も好調は続いた
相変わらず藪は物凄く、山ナタで道を切り開きながら進み、僅かでも水面が見えればフライを落とし
フライが落ちれば50%近い確立で良型のイワナが食ってくる!
お昼までの数時間で、泣き尺3本を含めて20本と言うダブルツ抜けの大大漁(^^)b
ふと気がつくと、腕が異常に重い・・・
山ナタで枝を切り払うのは思った以上に重労働だが、その苦労に見合う以上の釣果が上がり
腕の疲れ忘れて夢中で釣り上がってきた訳だから、まぁ無理もない事だ
丁度、空の見える開けた場所に辿り着いたこともあって、ここで昼食休憩を取る事にした
良い釣が出来ている時は飯が美味い!
いつものコンビニのオニギリとウーロン茶なのに、五臓六腑に染み渡る美味さだ
周りを見渡せば、鬱蒼とした森の中、人工物は一つも見当たらない・・・
「だから源流釣は止められないんだよなぁ・・・」つくづくそんな風に思う瞬間だった
食事を終えて、タバコを一服していると
5~6m先の岩の上をフワフワと羽虫が飛んでいる事に気がついた
「カワゲラかな?」
しかし、どうも飛び方がおかしい・・・目を凝らしてよく見ると、そのカワゲラ(?)から上に向かって糸が伸びている、ティペットか?
「なんだ、誰かがロストしたフライか!しかし、こんな藪沢で随分と長いティペットを使ったものだな」
岩の上の枝の高さを考えると10ft近くはありそうだ
「この辺りは開けたポイントだから、ライズでも見つけてココだけシステムを組み直したのかもしれないな」
なんて事を考えていると、私の目の前をトンボが横切った
シオカラトンボだろうか?
そのトンボは、
美味そうに浮かぶフライをジーッと見つめ(その様に見えた)、エサと間違えたのかそのフライを捕まえたのだ!
すぐにエサでは無いと気付いて離すだろうと思ったのだが、運悪くトンボはフライにフッキングしてしまい
今度はトンボがティペットに吊るされる格好になってしまった・・・
「あ~あマヌケな奴だな、そう言えば俺もトンボをフライで釣ったことあったなぁ」
面白い光景なので写真でも撮っておこうかと、バックパックの中を探ってカメラを取り出し、岩の方を振り向くと・・・
なんと言う事だ!今度は岩の上にカエルが居る!?
しかもどうやら吊るされた不幸なトンボを狙っているようだ、トンボにとっては不幸の上塗り、カエルにとっては不幸の始まりのこの光景、偶然とは言え何と面白い所に出くわしたものだ♪
カエルは美味そうに浮かぶトンボをジーッと見つめていた(その様に見えた)
「食え・・・パクっと行けよ・・・・」
カメラを構えたまま、心の中でそう念じて、明日のブログの記事のタイトルなんかを考えていると・・・
バクッ!
カエルはジャンプし、その不幸なトンボを一口で飲み込んだ
そして不幸にも私の期待通り(?)、今度はカエルが宙吊りになってしまった(大笑)
最初から見ているから良い物の、いきなり宙吊りのカエルを見つけたらビックリするだろうな・・・(;^^A
出来ることなら吊り下がったトンボの姿もカメラに収めたかったが、カエルを驚かせて逃してしまっては元も子もない
まぁ、宙に浮くカエルだけでも充分面白い写真になりそうだし、仕方が無いな!
カメラを構えてその岩に近付こうとした、その時
視界に入ってしまった・・・ヘビだ!!
アオダイショウだろうか?
今度はその不幸なカエルを狙うヘビが、岩の上に鎌首をもたげ、
美味そうに浮かぶカエルをジーッと見つめていた(その様に見えた)
「何だ、これは・・・?」
こんな偶然ってあるんだろうか?もはや恐怖にも似た薄ら寒い感覚すら覚えた
ヘビは、宙に浮かびもがくカエルに違和感を抱くことなく、そのまま喰らい付き、飲み込み始めた・・・
と同時に、ヘビの身体も宙に浮かび始めたのだった・・・
カエルから(トンボから?)のびたティペットは、ヘビの身体を宙吊りにした
クネクネとまるで空中を泳ぐように、ヘビは身体をくねらせながら、何とかこの状況から脱しようとしていたが
相当太いティペットのようで、切れる事も、針が外れる事も無く
不幸なヘビは宙吊りのまま、次の不幸な捕食者を待つ羽目になってしまった
私は写真を撮ることすら忘れ、次に起こるべき偶然の連鎖に見入っていた
次はどうなるのか?ただそれだけを想像(期待)していた
何故だろう・・・また次の連鎖が起きる事を、私はその時すでに確信していたのだ
次の偶然は空からやってきた!
私の頭の上を黒い影が通ったかと思った次の瞬間
バタバタバタ!!
小さめの猛禽類だ、トビだろうか?宙吊りになったヘビを捕食しようと襲い掛かったのだ
トビは、宙吊りになったヘビを両の足でガッチリ掴んだ
トビは美味そうに浮かぶヘビをジーッと見つめ(その様に見えた)、そのまま持ち去ろうとしたのだが、ヘビから(カエルから(トンボから))伸びているティペットが邪魔をする
トビはやむを得ず、そのまま空中にぶら下がったまま翼でバランスを取って食べる事にしたようだ・・・
止めを刺すべくヘビにクチバシを突き立て、ガリっと言う音と共にヘビの頭を食いちぎった
そして起きるべき事が起きた
今度はトビの口にティペットが移り、宙吊り・・・と言うかティペットで繋がれたトビ
そんな光景が出現した
トビは、羽ばたいて逃げようとするのだが、口から伸びたティペットがそれをさせない
上に向かって飛んだかと思えば、ティぺットに頭から引っ張られて下に落ちてくる、岩に激突し、弾力で再び宙に飛び上がる
そんなことを数回繰り返すうちに力尽きてきたトビは、ダランと吊り下げられ、その場でバタバタともがくだけになってしまった・・・
私は次を期待し、キョロキョロと辺りを見渡した
すると川の対岸の茂みから、ガサガサと音がして、茶色っぽい塊が飛び出してきた
キツネだ!
キツネは軽やかに川を飛び越え、岩の前まで走ってきた
そして美味そうに浮かぶトビをジーッと見つめ(その様に見えた)、飛び掛った
トビを地面に引き摺り下ろし、ガリガリと音を立て、その場で食べ始めたのだ
羽根がそこら中に散乱し、トビの身体が段々原型を留めなくなってきた・・・
普段なら気持ちが悪いと、目を背けるであろうこの光景を、私はワクワクしながら見入っていた
かつてトビだった最後の一切れが、キツネの口中に消えた次の瞬間
合わせでも食らったかのように、キツネの身体はティペットに引っ張られて勢い良く宙に舞い上がった!
キツネは、まるでヨーヨーのように何度も上下移動を繰り返し、そのたびに地面に激突し
泣き声とも悲鳴とも取れるキツネの叫びが辺りに響いた・・・
数分後、キツネは力なく四肢を垂らし、ティペットで宙吊りの状態になっていた
呼吸によって僅かに動く胸の動きで、まだ死んではいない事を確認する事が出来た
私はホッとした
「良かった、まだ生きている!止めを刺す時が一番楽しいのだからな!!」
私はキツネが生きている事を確認し、そう思った
グ~・・・
お腹がなっている・・・
丁度目の前に、弱ったキツネが居る
そうだ、オレはハラがへっているんだ・・・
そして美味そうに浮かぶキツネをジーッと見つめる
肉、ニク、にくだ、血のシタタルにくが食いタインダ・・・
コノなたでトどめヲ刺し、頭からまるカジリニする・・・
口の中に血の味が広がる事を想像すると・・・????
私は何をしているんだ??
ナタを手にしたまま、キツネに向かってユックリ近付いている自分に気が付いた・・・
あのキツネを食べてしまったら、私も宙吊りになるのか?
そして今度は誰、いや何に食べられる事になるんだろうか?
いやいやいや、おかしいだろ!?
キツネを食べたいなんて、思うわけないじゃないか!
しかも生じゃないか!?
それにあのティペット、一体どこから伸びてきているんだ?
ティペットの先には・・・空しか無いじゃないか!!
頭の中のモヤが晴れ、かわりに恐怖が私の身体を包み込んだ・・・
私は精一杯の叫び声を上げ、全速力で来た道を逃げた
無我夢中で、一体どうやって車まで辿り着いたのか覚えていないが
逃げている最中、どこからともなく
「チッ!見切られたか・・・」
「仕掛けを変えてみたら?」
そんな声が聞こえてきた、他の事は覚えていないが、その声だけは何故か覚えているのだった・・・
PS.
この事件から数ヵ月後
どこかの藪沢で
「宙に浮かぶオニギリ」を目撃した!
そんな都市伝説を耳にするようになったのだが、この事と関係があるのかないのかは判らないし、判りたくもない!!
ただ少しだけ、ほんの少しだけ・・・
「食べてみたい・・・」こんな風に思ってしまう自分が妙に恐ろしいのだった・・・
おわり
Kawatombo Ken
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